なおみ(多治見) さんの [写メ日記一覧] |
11月02日 18:29 UP!
私の媚薬
エロイネ [3]
午後の微睡んだ空気が漂う時間、トイレへ行こうと廊下に出た私の鼻を、彼の匂いが擽った。
残り香が私を翻弄する。 廊下にはエレベーターとトイレと、非常階段へ続く扉。 なぜだかその先に彼がいるような気がして、ちょっとした好奇心が私の足を動かした。 静かに扉を開けると、外の景色を眺める彼の後ろ姿が見える。 所謂、黄昏ていた。 「加賀くん?」 「ん?おーお疲れ……」 「何黄昏てんのよ」 「んー……小休止ってとこ」 爽やかな香りが微風に舞う。 隣に並んで同じ景色を見ているのに、私の全神経は彼の香りを感じて逃れられない。 「清水さんこそ黄昏に来たの?」 またふわり。 思わず振り向くと、彼の涼しげな瞳が私の瞳を捕らえていた。 「うん、まぁそんなとこ」 景色に目を戻しながら応える。 ふわり。 彼が身動ぐたびに、微風が通り抜けるたびに、 私の体は彼の香りに支配されていく。 気付くと、私は彼を見つめていた。 そしてその視線に応えるように見つめ返す彼の瞳。 その瞳に吸い込まれるように私は彼の腕に手を伸ばした。 次の瞬間。 |
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